寝ても覚めてもORIX

オリックスバファローズを応援です。いろいろと書きますが、ORIXが勝てば、日常生活も楽しいという単純人間のブログです。

【阪急】勇者たちへの伝言

阪急西宮ガーデンズの広場の一角に、西宮球場のホームベースのあった位置に記念プレートが埋め込まれています。試しに打席に入って投手を見ようとしても、すぐ目の前はコンクリートの壁。折しも、広場では女性アイドルグループのミニコンサートが開かれていました。感慨にふけるには相当な想像力が必要です。
割と人通りはありますが、私が見ている間に気にとめる人はいませんでした。私の世代が、球場の記憶のある最後の世代だと思いますが、もう20、30年もたてば語る人もほとんどいなくなるのでしょう。

(2020/1/12撮影)


本日は、高井保弘さんの最初の月忌です。昨日に続いて、高井さんを偲びます。


手元に増山実さんの「勇者たちへの伝言」という本があります。

話は、高井さんが活躍した時代よりも少し前、梶本さんやバルボンさんが活躍した時代の西宮球場が中心です。バルボンさんは通訳としてしか認識していなかった私は、この本で阪急の歴史とともに学ぶことができました。涙なしには読むことができませんでした。心に残る作品で、当時を知る人だけでなく読んでいただきたいです。ネタバレになりますので、内容については触れないでおきます。


話のメインのストリーではないですが、主人公が高井さんへインタビューする場面が描かれています。この場面のインタビュアー(主人公)は、著者自身で実体験でしょう。高井さんが尼崎で警備員をされていた最後のころに、著者は会われたのでしょう。元メジャーリーガー・スペンサーの準備を怠らない姿から学んで、高井さんは投手のくせの研究をはじめ、その後高井メモが有名になったといった話が描かれています。もしかしたら、野村克也さんのIDにも高井さんの影響があったのかもしれません。(オールスターに高井さんを選んだのは敵将である野村克也氏)
いずれにしても、高井さんの日々の地道な努力が、27本のホームランとなりました。著作の中で、印象的な言葉があります。


未来は今日の掌の中に


高井さんが西宮球場近くの「ひびき食堂」の色紙に残した言葉です。小説ですのでフィクションかもしれませんが、印象的な言葉です。一見、無骨な風貌で、暗黙知というか勘と経験でやっている職人のように見える高井さん。しかし、今風に言えば、情報戦略面での努力があったのです。いくら一生懸命に準備しても出番が無いかもしれないのが代打です。まして、セ・リーグの投手の研究は無駄になることがほとんどでしょう。それでも準備は怠らない。高井さんから私たちが学ばないといけないのは、この部分だと思いました。オリックスの若い選手たちにも聞かせたいと思うのは私だけでしょうか?


高井さんのご葬儀は、かつての西宮球場の道を挟んで向かいでした。高井さんの打球が飛んでいく方向でしょう。おそらくはご家族はこの場所を意図的に選ばれたと思います。


ご冥福をお祈りします。